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人を信じられない「対人不信」の心理とは?原因と向き合い方を考える

目次

そもそも「対人不信」とはどういう状態なのか?

「人を信じられない」、「心を開けない」、「人を信用するまでに時間がかかりすぎる」。
もしあなたがそう感じているなら、それは「対人不信(たいじんふしん)」という心の状態かもしれません。

似た言葉に「対人不安」がありますが、この二つには少し違いがあります。

対人不安は、人からどう見られるか、傷つけられるのではないか、という「感覚的な怖れ」が強い状態です。

一方で対人不信は、「人は裏切るものだ」、「どうせ騙される」といった「思考や信念」に基づいていることが多いでしょう。

もちろん、この両者は密接に関わっています。
過去の経験から対人不安が生まれ、それが「人は信用できない」という対人不信の考えを強めていく、というケースがほとんどです。

なぜ人を信じられなくなるのか?心の問題を考える

Index
1.過去の傷から生まれる「対人不安」と「対人不信」
2.不安はないのに不信感が強いのはなぜ?
3.「人は信用できない」という信念
4.「対人不信」は自分を守るための防衛策

1.過去の傷から生まれる「対人不安」と「対人不信」

おそらく多くの人が、まず対人不安から対人不信へと進むのではないでしょうか。

誰かにひどい言葉を言われた、裏切られたなど、過去に心を傷つけられた経験があると、脳はその記憶を「危険な出来事」として刻み込みます。

すると、目の前にいる人が、また自分を傷つけるのではないかという不安が高まります。

この不安を基盤として、相手を「信用しても大丈夫か?」と疑いの目で見るようになり、「対人不安」が「対人不信」に変わっていくのです。

警戒の根っこにあるのは、再び傷つくことへの強い恐れです。
これは、自分の心を守るための無意識的な防衛反応だと言えるでしょう。

2.不安はないのに不信感が強いのはなぜ?

「初対面の人に会うのは少し緊張するけど、不安はすぐになくなる。でも、なかなか心からは信用できない」 もしあなたがそう感じるなら、これもまた対人不信の現れかもしれません。

初対面の人と会う前、「どんな人だろう?」、「怖い人だったらどうしよう」と不安に思うのは、誰にでもある「予期不安」です。
しかし、実際に会ってみて相手の雰囲気から「この人は大丈夫そうだ」と感じれば、その不安は解消されることがほとんどです。

それでも、不信感はなかなか消えないことがあります。
それは、「この人は何を考えているんだろう?」、「何か裏の目的があるのでは?」といった思考のループに陥っているからです。

特に現代は、インターネットを通じて人と出会う機会が増えました。
相手のプロフィールや経歴が本当かどうか、簡単に判断できない場面も多いでしょう。

このような場合、人を簡単に信用しないのは、決して悪いことではありません。
むしろ自分を守るための、賢明な判断と言えます。

しかし、もし過去にインターネットで騙されたり、裏切られたりした経験があれば、その不信感はより強固なものになります。

一度深く傷ついた心は、「もう誰も信用しない」という強い信念を作り上げてしまうことがあるからです。

3.「人は信用できない」という信念

過去に深く信頼していた人に裏切られ、金銭的・精神的に大きな被害を受けた経験は、「もう誰も信用しない」という強い決意を生むことがあります。

この経験は、「人は信用できないものだ」という揺るぎない信念となって、心に深く刻まれてしまうのです。

この信念は、あなたの人生に大きな影響を及ぼします。
人を遠ざけ、新しい人間関係を築くことから身を守ろうとするため、優しさや温かさに触れる機会を失ってしまうかもしれません。

さらに、この信念が親から子へと受け継がれてしまうこともあります。

「自分以外、誰も信用してはいけない」と教えられて育った子どもは、人との関わりを恐れるようになり、温かい人間関係を築く経験を十分に得られないまま大人になる可能性があります。

それは、孤独感や生きづらさを抱える原因となり、残念な人生につながってしまうかもしれません。

一度心に根付いたこの信念を乗り越えることは、決して簡単なことではありません。
しかし、あなたのその深い傷と向き合い、少しずつでも心を解き放っていくことは可能であると思います。

4.「対人不信」は自分を守るための防衛策

さて、人を信じられないという思いは、決してネガティブな感情ばかりではありません。
それは、自分を守るための大切な「自己防衛」でもあります。

見ず知らずの人に対して警戒心を抱くのは、人間としてごく自然なことです。
相手がどんな人か分からないのに、むやみに心を開くのは危険を伴うからです。

しかし、この自己防衛が過剰になりすぎると、問題が生じます。

「人は絶対に信用できないものだ」という信念が強固になってしまうと、誰に対しても心を開けなくなり、人との温かいふれあいを避けるようになってしまいます。

その結果、新しい人間関係を築くことが難しくなり、孤独を感じることが増えてしまうかもしれません。

対人不信は、過去の経験から植え付けられた「自分を守るための木」です。
その木が大きくなりすぎ、心の成長を妨げていないか、一度立ち止まって考えてみませんか?

もし、人を信じられない気持ちが強すぎて生きづらさを感じているなら、それはあなたの心が「助けを求めているサイン」かもしれません。

カウンセリングでは、あなたの心の傷を丁寧に紐解き、少しずつ人を信頼する感覚を取り戻していくお手伝いができます。

一人で悩まずに、ぜひ専門家にご相談ください。

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