対話は、人生のエネルギー。〜脳を活性化し、豊かな人間関係を築く力
私たちは、社会という集合体の中で生きています。
その中で、他者との関係を円滑にし、人生を豊かにするために不可欠なのが「対話」です。
対話と一口に言っても、一方的なスピーチやパーティーでの賑やかな会話とは少し違います。
ここでいう対話とは、「お互いが、お互いを理解しようと努める、一対一のコミュニケーション」のことです。
「想像力に基づく他者への配慮」も大切ですが、それだけでは不十分です。
想像はあくまで想像であり、現実とは異なることもあります。
だからこそ、現実の相手と向き合い、言葉を交わす「対話」が必要なのです。
では、なぜ対話はこれほどまでに重要なのでしょうか。

良好な人間関係を築くための「対話」のコツ
対話を通じて相互理解を深めるには、いくつかの大切な要素があります。
1.自分のことを話す勇気
相手に自分のことを理解してもらうためには、まず自分が心を開いて話すことが不可欠です。
しかし、「どうせ話しても理解されないだろう」、「自分の話に興味を持つ人はいない」と決めつけて、話すことを諦めていませんか?
もちろん、すべての人に理解される必要はありません。
しかし、まずは「私はこんな人間です」と自己開示する勇気がなければ、相手との心理的な距離は縮まらないのです。
ただし、一点だけ注意が必要です。
自分ばかりが話し続けてしまうと、相手はうんざりしてしまいます。
対話はキャッチボールです。相手が話す時間も大切にしましょう。

2.相手の話を「聴く」姿勢
自分のことを理解してもらいたいなら、当然、相手のことも理解しようと努める必要があります。
「聴く」ことは、ただ耳で聞いているだけではありません。
相手の言葉の裏にある感情や意図に耳を傾けることです。
もしあなたが話すことが苦手だと感じているなら、まずは「聴き上手」を目指してみるのはいかがでしょうか。
「聴く」ことに徹することで、相手は「この人は自分の話をしっかり聞いてくれる」という安心感を抱き、あなたに好意的な感情を抱いてくれる可能性が高まります。

対話がもたらす、心の栄養と脳の活性化
対話には、私たちが生きる上で不可欠な、様々な効果があります。
1.「承認欲求」を満たす
人は誰しも、「認められたい」「必要とされたい」という承認欲求を持っています。
対話を通じて相互理解が深まると、お互いが「この人は自分のことを理解してくれた」と感じ、この重要な欲求が満たされます。
これは、良好で強固な人間関係を築くための土台となります。

2.「脳の活性化」
対話は、脳にとって最高のトレーニングです。
相手の言葉を理解しようとし、自分の考えを言語化しようとすることで、脳のさまざまな機能が活発に働きます。
特に、高齢になっても対話を続けることは、認知症の予防にもつながると言われています。

3.「生きるためのエネルギー交換」
対話は、私たちにとって「エネルギー」のようなものです。
自分の気持ちを分かってもらった時の嬉しさ、共感してもらえた時の安心感は、生きていく上での大きなエネルギーとなります。
対話が不足すると、まるでガス欠になった車のように、私たちは前に進む活力を失ってしまうのです。

カウンセリングは「対話」の特別な形
最後に、心理カウンセリングにおける対話について触れておきましょう。
カウンセリングも一対一の対話ですが、一般の対話とは目的が少し異なります。カ
ウンセリングでは、ご相談者様が主役です。
カウンセラーは、ご相談者様の悩みに耳を傾け、その本質を一緒に探る「聞き役」に徹します。
カウンセリングの最大の効果は、ご自身の悩みを解決に導くことです。
話したいことを話しきったことによるストレス解消や、誰にも言えなかった悩みを理解してもらえたことによる安心感も得られます。
もちろん、カウンセリングだけが唯一の解決策ではありません。
信頼できる友人との対話でも、同様の効果を得られることもあります。

大切なのは、「誰かと心を通わせる時間を持つこと」なのです。
すべての人間関係に全力を注ぐ必要はありません。
相性の合わない人がいるのは当然のことです。
しかし、自分の人生を豊かにしてくれる、心を通わせられる人との対話は、これからも大切にしていきたいものです。
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