親のダブルバインドと子供の心の問題

Index
1.ダブルバインド(心の二重拘束)
2.親の子に対するダブルバインド・ダブルメッセージの具体例
3.ダブルバイド(二重拘束が与える子供の心への問題)

1.ダブルバインド(心の二重拘束)

ダブルバインド。
この言葉ご存知ですか。

ダブルメッセ−ジによる二重拘束を意味します。
この概念は、文化人類学者、ベイトソンによって考えられました。

簡単に書くと、言語と非言語メッセージの相違です。
言語表現と非言語表現と言っても良いです。

例えば、親の子供に対する表現(言葉がけ)が、実際の話し方のトーン、もしくは顔の表情と相反している場合です。

例えば、親が子供に「かわいいね」と言ったとします(言語表現)。

言葉は大変いい優しい言葉なのですが、その言い方にトゲがあってきつかったり、顔が笑顔ではなく怒っていたとしたらどうでしょう(非言語表現)。

言語表現と非言語表現の不一致。

子供はどちらが、本当に親が伝えたいことなのか、どちらが本当のメッセージなのか分かりません。
混乱してしまいます。

親は言葉では、「かわいいね」と言うが、非言語では怒り顔。
子供は親に、かわいいと思ってもらっているのか、怒られているのか分からないのです。

これが、ダブルバインドです。

更にダブルバインドを、二重メッセージによる拘束と捉えると、次の2例も、ダブルバインドと解釈出来ます。

2.親の子に対するダブルバインド・ダブルメッセージの具体例

親が子供にあることをして「いいよ」と許可をします。

しかし、その行動をする直前で「ダメ」と言った場合は、時間を置いて言語によるダブルメッセージを送っていることになります。

上例を具体的に書きますと、子供が野球をしたいと思い、親に野球に行っていいかと聞きます。
親は一旦は「いいよ」と返事をするのですが、子供が試合に行く直前に「ダメだ、勉強しろ」と言ってみたり、または、試合には行きましたが帰ってくるなり、「野球なんかに行くな」と言ってみたりと。

特定の行動について、時間を置いて相反するメッセージを送り、一体、親は何を言いたいのだろうかと、子供を混乱させるのです。

親の気まぐれで、子供を混乱させるのです。

次の例はどうでしょう。

親は家では子供を誉めます。
しかし、外出して親戚等に会うと、子供の目の前で「家の子は出来が悪くて」と話します。
それを聞いていた子供はどんな思いをするでしょうか。

もちろん親としては、親戚に対して、謙虚に振る舞っただけなのかもしれませんが。
家の中と外での評価が相反している。これも子供は混乱するでしょう。

ダブルバインドとは上述しましたが、相反するダブルメッセージを送ることにより、子供の心を二重に拘束するのです。

このようなことが日々行われていたとしたら、子供はどのようになるでしょうか。

3.ダブルバイド(二重拘束が与える子供の心への問題)

親からダブルバインドを受け続けた子供は、その、相反するメッセージを受け続けたことにより

何が正しいのか、果たして自分は価値があるのかないのか、何が正常なのか、まったく分からなくなってしまうのです。

そして、何が正しいのか、親が伝えたいことは何かと常に思い感じて、親の視線や表情、行動を過剰に意識して推察しようとします。

また、自分はどのように振る舞えば、親が納得するのか分からなくなってしまい、行動そのものを停止させてしまうかもしれません。

更に成長するにつれては、人の視線や表情を過剰に意識して、一体自分はどう思われているのか、さらに、自己不全感より、自分とは何物なのか分からなくなってしまうこともあります。

このようになりますと、自己価値を他者に委ねてしまう問題にも通じて、相手の気に入る行動ばかり取ろうとするかもしれません。

また、相手を意識するあまり、自分を見失ってしまうかもしれないのです。

また、安定した評価を親から得られないということは、自分とは何物であるかを認識することが出来ず、青年期のアイディンティティの確立にも失敗してしまうかもしれないのです。

これら、親からのダブルバインドの問題より、「自分に対する悩み」、「性格の悩み」が生じ、日々苦痛を感じておられる方に対して、カウンセリングは有効でしょう。

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