人に心を開くことへの不安と、最適なタイミング
「人にどうやって心を開けばいいのか分からない」。
特に初対面の人に対して、そう感じる方は少なくありません。
しかし、「心を開く」という悩みは、具体的に何を意味しているのでしょうか?
おそらくそれは、「他者に対して、自分の意見、思い、感情をどこまで伝えていいのか分からない」という戸惑いではないでしょうか。
確かに、相手のことを知らない状態で、どこまで自己開示していいのか迷うのは当然です。
この人は自分の話を聞いてくれる人なのか、そうではないのか…。
さまざまな不安が頭をよぎるでしょう。
そして、人に心を開くことの難しさは、大きく以下の3つの側面に集約されると考えます。

心の開き方の問題:いつ、誰に、どのように心を開くか
Index
1.心を開くタイミングの問題
2.話す「内容」の問題と関係性の構築
3.「真に心を開く」ということ:焦らずに信頼関係を育む
1.心を開くタイミングの問題
「いつ心を開いていいのかタイミングが分からない」。
「心を開いて話した時に、否定されないか不安」。
まず、「心を開く」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 難しく考える必要はありません。それは、「自分の話したいことを話す」ことに他なりません。
日々の出来事、趣味のこと、そして時には、抱えている悩みに関することまで。
要は、心を開くとは、コミュニケーションを積極的に取るということではないでしょうか。
では、「いつ心を開いて良いのかタイミングが分からない」という悩みは、「いつ話しかけて良いのか、そのきっかけが分からない」という問題にも置き換えられます。これは、相手の様子を伺い、「今、少しお話しても大丈夫ですか?」と、相手の了解を得ることから始めるのが無難です。
話しかけるタイミングは、こちらからの丁寧なアプローチによって生まれるものなのです。

2.話す「内容」の問題と関係性の構築
勇気を出して話すタイミングの許可を得たとしても、次に心配になるのは「話す内容を否定されないか」という不安でしょう。
私の経験上、趣味や家族の話など、あたりさわりのない簡単な話題から入る限り、多くの人は話している相手に合わせて、穏やかにコミュニケーションを続けてくれるものです。
ここで大切なのは、初対面やあまり知らない相手には、まず「簡単な話題」を提供することです。
そして、もしその相手との関係性を深めたいのであれば、少しずつ自分を知ってもらうための継続的な努力が必要です。
心を開く過程において、いきなり初対面の人に、自分の内面や深い悩みの話をするのは危険です。
相手はあなたの背景を知りませんし、心の準備もできていないかもしれません。
自分の内面や悩みの話は、数回コミュニケーションを重ね、「この人なら信頼できる」、「話を聞いてくれる」と感じてからにしましょう。

3.「真に心を開く」ということ:焦らずに信頼関係を育む
私が考える「真に心を開く」とは、自分の内面、つまり個人的な感情や深い思いを話すことだと認識しています。
しかし、そのためには時間がかかる、ということを理解してください。
コミュニケーションの許可を得たからといって、そこでいきなり自分の深い話、内面、悩みの話を始めると、相手は会話を止めてしまう可能性が高いです。
その理由は、よく知らない初対面の人の複雑な話を聞いても理解できない、あるいは、まだ難しい内面の話を聞く準備ができていない、といった点が考えられます。
したがって、一方的に自分のことを話し続けるのは危険です。
ましてや、内面の深い話をするのは、さらに慎重になるべきです。

心を開き、内面を話すためには、相手を慎重に見極める必要があります。
そのためには、数回にわたる雑談を通して、「安心できる関係」、「信頼関係」をゆっくりと築いていくことが不可欠です。
そして、「この人なら話しても大丈夫」と思えるようになったら、徐々に、自分の意見、思い、感情など、あなた自身に関する事柄を伝えていけば良いのではないでしょうか。
焦らずに、相手を知る努力、そして信頼関係を築く努力をしてください。
その先に、安全に心を開ける瞬間が訪れます。
この時も、一度に全てを話し切るのではなく、相手の様子を見ながら、焦らずに少しずつ話を進めることが肝要です。
人間関係を築く上で、焦りは禁物です。
じっくりと時間をかけ、相手との間に確かな絆を育むことこそが、真に心を開くための最も確実な道なのです。