支援員との関係性を育む「受援力」の高め方
日常生活で困りごとを抱えたとき、私たちは誰かの助けを必要とすることがあります。
行政やNPOといった公的な機関に支援を求めることも少なくないでしょう。
このとき、支援員から円滑に支援を受ける力、それが「受援力」です。
今回は、この「受援力」を高めることに焦点を当てていきます。なぜなら、支援員との良好な関係性が、あなたが本当に必要な支援を得るための鍵となるからです。

支援員と相談者は「人と人」
ここでまず理解しておきたいのは、支援員も、あなたも、同じ「人間」であるという点です。
人が人を気持ちよく支援するためには、良好な人間関係が不可欠です。
お互いに不信感を抱いていたり、敵対心を持っていたりすれば、スムーズな支援は難しいでしょう。
特に、支援員に「この人を支援してあげたい」と感じてもらうことは、非常に重要です。
もちろん、支援員の前で卑屈になる必要は一切ありません。
しかし、相手も人間であるという視点を持つことが、受援力向上の第一歩です。
正直な気持ちで臨むことは大切ですが、同時に相手への配慮も忘れないようにしましょう。

支援員と良好な関係を築くために大切なこと
Index
1.愚痴・文句ばかり言わない
2.乱暴な言葉遣いをしない
3.問題の全てを人のせいにしない
4.やる気のない態度を取らない
5.「でも」を多用しない
1.愚痴・文句ばかり言わない
支援を受ける際、多くの方が、今抱えている困難な状況や、これまでの理不尽な思いを支援員に話したいと思うでしょう。
気持ちを分かってほしい、話すことでストレスを発散したいという思いもあるはずです。
初回であれば、多少の愚痴や文句を話すことで、気持ちが落ち着き、その後の建設的な話し合いにつながることもあります。支援員の方も、初回の面談では、相談者が抱える感情の吐露を受け止めてくれることでしょう。
しかし、愚痴や文句が頻繁になると、聞いている側は不快に感じたり、退屈になったりすることもあります。結果として、支援員との関係構築を阻害する可能性も否定できません。
自分の気持ちを伝えることは大切ですが、相手に与える印象も考慮に入れる必要があります。

2.乱暴な言葉遣いをしない
過去の経験から、以前の支援員との関係で傷ついたり、高圧的な態度を取られたりしたことで、支援員全体に対して不信感や怒りを抱えている方もおられるかもしれません。
しかし、目の前にいる今回の支援員は、過去の支援員とは別人です。
支援員が丁寧な姿勢で話を聞こうとしているのに、あなたが過去の経験から、支援員に対して乱暴な言葉遣いをしてしまうと、相手も人間ですから不快に感じ、親身な支援をためらうかもしれません。
相談者と支援員、お互いに人間として尊重し合う姿勢が、円滑なコミュニケーションには不可欠です。

3.問題の全てを人のせいにしない
支援員と話す際、あなたが抱えている問題の全てを他人のせいにすることは避けましょう。
確かに、他者に騙されたり、他者のアドバイスに従った結果、状況が悪化したりすることもあるでしょう。その気持ちは十分に理解できます。
しかし、最終的に何を信じ、どのような選択をするかは、あなた自身に委ねられています。
あなた自身にも、何かしらの責任や判断があったはずです。
問題の責任を全て他者に押し付け、そのことばかり話し続けると、支援員は「この人は何でも人のせいにする」という印象を持つかもしれません。
そうなると、支援員もあなたに対して不信感等を抱き、親身な支援を受けることが難しくなる可能性も出てきます。これは、愚痴や文句ばかり話すことにも通じる点です。

4.やる気のない態度を取らない
何か困りごとを解決したいからこそ、支援員に相談するのだと思います。
しかし、その際にあなたがやる気のない、投げやりな態度を取ってしまうと、支援員にはどのように映るでしょうか。
支援員も人間です。やる気のない人を支援しようと、どれほどの力を注げるでしょうか。やる気のなさは、他者に不快感を与えることを認識してください。行政やNPOの支援員は多忙な傾向にあり、やる気のない相談者に対して、支援の優先順位を下げてしまうことも考えられます。

5.「でも」を多用しない
支援員との会話の中で、支援員の提案やアドバイスに対して「でも」と切り返すことが続いてしまうことはありませんか?
「でも」は反意を示す言葉であり、結果的にどのような提案やアドバイスも受け入れない姿勢につながってしまいます。
支援員の提案に対して「でも」を多用し、拒否反応ばかり示していると、支援員もどのように関わればよいのか分からなくなり、距離を置かれてしまうかもしれません。
もちろん、納得できない提案に対しては、自分の考えを正直に伝えるべきです。しかし、全ての提案を「でも」で否定してしまうと、あなたの「やる気」も疑われる可能性があります。
あなたのやる気は支援員にも伝わりますし、逆に、やる気のなさも伝わってしまいます。

受援力を高め、より良い未来へ
大切なことは、人と人が接しているということです。
そして、基本的に人間として、支援員と相談者は対等な立場なのです。
対等な立場だからこそ、相手に礼を尽くし(卑屈になる必要はありません)、相手の立場を尊重しましょう。「ありがとう」という感謝の気持ちを大切に接し続けることができれば、支援員の印象も良くなり、あなたの受援力も高まるはずです。
もちろん、支援員の中には、相性が合わない、あるいは支援員自身が問題を抱えている場合もあります。そのような時は、遠慮なく担当の支援員を変更することも検討しましょう。
受援力を高めることは、あなたがより良い支援を受け、抱えている問題を解決するための重要なステップです。自分自身のことも、支援員のことも大切にしながら、積極的に相談し、支援を活用していきましょう。

支援を受ける権利はありますが、支援員も同じ人間です。
人としての礼儀を守ることは、円滑な支援関係を築く上で不可欠だと言えるでしょう。
その上で、あなたの悩みや思い、考えを率直に伝えることが、最善の道となるはずです。
そして、この支援員の範疇には、心理カウンセラーも含まることを記載いたします。