あなたにとっての「最適な心理カウンセラー」を見つけるための視点
私は以前から「優秀な心理カウンセラー」の基準とは何か、という問いについて考えていました。
私自身の結論としては、統一的で絶対的な基準は存在しない、というものです。
なぜなら、心理カウンセラーは人の悩みと真摯に向き合う仕事ですが、その悩みは人それぞれ千差万別だからです。
全ての悩みに完璧に応えられるカウンセラーは、おそらく存在しないでしょう。

優秀な心理カウンセラーの基準とは
1.「優秀なカウンセラー」に対する私の推察
では、「優秀な心理カウンセラー」という言葉が示すものは一体何でしょうか。
もし基準がないとすれば、何を根拠にカウンセラーを選べば良いのでしょうか。
これは、同業者である私にとっても、常に問い続けるべきテーマです。
まず、大前提として「全ての悩みに精通している心理カウンセラーはいない」ということを共有したいと思います。その上で、特定の悩み、例えば「対人恐怖症」や「人間関係の悩み」に専門性や熟練性を持つカウンセラーは確かに存在します。

もし、あるカウンセラーが「対人関係の悩みに強い」と謳い、実際に数回のカウンセリングでクライエントの方が社会適応に優れ、コミュニケーション能力も劇的に向上させられる実力を持っているとしたら、1回、10万円というカウンセリング料を提示しても、それは決して高すぎるとは言えないかもしれません。
「そんな高額なカウンセリング料は払えない」と思われるかもしれません。
しかし、少し立ち止まって考えてみてください。
もしあなたが長年苦しんできた「対人恐怖症」や「人間関係の悩み」から解放され、「誰とでも臆することなく話ができ」、「雑談も平気でこなせる」、「自分の意見を堂々と主張できる」、「人々の注目を引くような魅力的な会話ができる」状態になれたとしたら、どうでしょうか?

社会に適応し、さらに自信をもって活躍できる。
今まで人間関係に委縮していた心が解き放たれ、堂々とした立ち居振る舞いが身につく。
その結果、対人能力が求められる仕事に就き、営業職でも素晴らしい成績を収め、年収が大幅にアップする。もし、このような未来が手に入るのなら、1回10万円のカウンセリング料は、未来への「先行投資」としては決して高いものではないはずです。
しかし現実には、1回10万円でカウンセリングを行っているカウンセラーはほとんどいません。
それはなぜでしょう。
結局のところ、それだけの「効果」や「価値」を提供し続けることが難しいからだと、私は考えます。もし「私は優秀な心理カウンセラーだ」と胸を張れる方がいるなら、ぜひ、1回10万円でセッションを実施されても良いのではないでしょうか。

私の見解では、心理カウンセラーは問題解決に向けて、クライエントの方にアドバイスや助言を提供します。
しかし、その助言を受け入れ、実際に自分を変えるための努力をするのは、あくまでもクライエントの方自身です。
クライエントの方の努力こそが、自分自身を変える原動力であり、その功績者なのです。心理カウンセラーは、その旅路を伴走し、適切なサポートを提供する「脇役」に過ぎません。
こう考えると、優秀なのは自分を変えるためにな努力を継続し続けた、ご相談者様であり、カウンセラーが優秀云々の議論じたい無意味なものかもしれません。
したがって、以下の文章においては、「あなたにとって最適なカウンセラーを選ぶ視点」として、情報提供と私の考えを記述します。

2.あなたにとって最適なカウンセラーを選ぶ際の具体的な視点
それでは、カウンセラーの選ぶ際、判断するにあたって、どのような視点を持てば良いのでしょうか。
a)専門性と実績
特定の分野(例:うつ病、不安障害、人間関係、子育て、キャリアなど)に特化した知識や経験が豊富であるか。
また、実際にその分野での改善例や実績を明確に示せるかどうかも重要な指標です。
カウンセラーによっては、ホームページなどで匿名化したクライエントの声や事例を掲載している場合もあります。
(但し、クライエントの声や事例の掲載は作為的に作成可能であることを同業者として付記します)。
b)理論的背景と技法
どのような心理学的な理論(認知行動療法、精神分析、来談者中心療法など)に基づいているか、そしてどのような具体的な技法を用いるのかを明確に説明できるか。
あなたの悩みに合ったアプローチであるかを確認しましょう。
さて、私のカウンセリングは、アレン・E・アイビイの「マイクロカウンセリング」理論を基盤としています。
この理論は、クライエントさんの話を丁寧に聴き、共感的に理解を深めることを重視しています。
また、助言、アドバイスを重視しています。
また、私は自身の経験に準じるご相談内容のみお受けしています。
これは、私自身のパーソナルな部分が前面に出るように感じられるかもしれません。
しかし、どのようなカウンセラーであっても、その人自身の個性や経験は必ずカウンセリングに表れるものです。
そして、それこそがカウンセラーの魅力となり、ご相談者様との間に独特な関係性を築く上で大切な要素だと考えています。
カウンセリングは、心理カウンセラーとご相談者様、「人と人との対話」です。
知識や技術はもちろん大切ですが、それ以上に、お互いの人間性が触れ合い、信頼関係を築けるかどうかが、カウンセリングをより豊かなものにすると信じています。

c)倫理観と守秘義務の徹底
クライエントの情報を厳重に管理し、守秘義務を徹底していることは大前提です。
また、カウンセリングのプロセスにおいて、カウンセラー自身の価値観を押し付けたり、クライエントを依存させようとしたりしない、高い倫理観を持っているかどうかも重要です。
d)カウンセラー自身の自己理解とセルフケア
カウンセラー自身が心身ともに健康であり、自身の感情や思考を客観的に理解し、適切にケアできているかどうかも間接的ながら重要な要素です。
カウンセラー自身が不安定な状態では、クライエントをサポートすることは困難です。

カウンセラーとの相性の大切さ
そして、もう一つ忘れてはならないのが、やはり「相性」です。
どんなに専門知識が豊富で経験豊かなカウンセラーでも、あなた自身が「この人になら安心して話せる」「この人の言うことなら素直に聞ける」と感じられなければ、心を開いて話すことは難しく、信頼関係を築くことはできません。
信頼関係がなければ、カウンセリングの効果は半減してしまうでしょう。
したがって、私の中での「相談相手として最適な心理カウンセラーの基準」に対する最も妥当な答えは、最終的には「自分と波長が合い、心から信頼できる心理カウンセラー」ということになります。
カウンセリングを受けることを検討されている方は、ぜひ複数のカウンセラーの情報を集め、初回カウンセリングなどを通じて、あなたにとっての「最適なカウンセラー」を見つけるための判断材料にしてみてください。