42-小学生3年生。引っ越しの記念品を渡すか否か
母の学び
さて、小学3年生の頃、私は京都市から向日市へ引っ越すことになりました。
昭和48年ごろの話です。
当時は、転校する子がクラスメイトに「記念の品」を渡すのが、ほぼ習慣になっていました。
このとき、引っ越すのは私を含めて3人。
3人とも、最後の登校日を迎えることになります。
ここで、私の母が登場します。
母はこの「記念品を配る」という習慣を、まったく意味のないものと考えていたようで
他の引っ越しをする2人のお母さんたちに、「やめましょう」と提案したそうです。
……ええ、母の性格ですからね。
強気に押し切って、ほとんど強引に同意を得たようです。
しかし、結果はどうだったかというと
いよいよ最後の登校日。
他の2人は、しっかりクラスメイト全員に記念品を配っていました。
そして私だけが、手ぶら。
家に帰って母に報告すると、さすがに気まずくなったのか、仲の良かった子にだけでも渡してきなさいと、お金をくれました。
私は文房具屋へ行き、ちょっとした品を買い、数人の友達に配って歩きました。
でも、今思えば、母も余計なことをしたものです。
どんな主張や信念であっても、それは自分自身の人生で実証すべきことであって、
子どもの人生を使ってまで押し通すべきではないと思うのです。
時には、黙って「習慣に従う」ことが、一番穏やかで円満な道でもあります。
母は子どもの頃から勝ち気で、クラス委員に立候補したりと、先頭を走るタイプだったようです。
でも、今回の件で、思い通りにいかない現実を突きつけられたのではないでしょうか。
社会は広い。
学校でどれだけ偉かったとしても、
社会では誰もあなたの主張には耳を貸さないこともある。
誰も従ってくれない。
自分の影響力の限界を知ること。
それもまた、大切な学びです。
母にとっては悔しい出来事だったかもしれませんが、
「自分の思い通りにいかない現実」や「他人を動かすことの難しさ」を学ぶ、
良い機会になったのではないかと思います。
